蜂の巣の予防と駆除について
蜂に巣を作られないかという不安を持たれている方も多いと思います。
スズメバチとアシナガバチは春になると巣を作ります。過去に蜂に巣を作られた場所は今年も蜂の巣を作られる可能性が高いので、定期的に点検をして、あらかじめ確認をしておき、春先に蜂が嫌うスプレーなどの駆除剤を撒いておくとよいです。しかし実際に巣を作られてしまった場合は、駆除業者に依頼する方が良いです。この記事では巣の予防方法と、あえて自分で駆除する場合に実際に何をするかを説明します。
蜂の巣の駆除の基本方針
巣作りをさせない
過去に蜂に巣を作られた場所は、蜂にとって都合のよい営巣場所であると言えます。そのため今年も違う蜂が同じ場所に巣を作る可能性があります。蜂が巣を作る春先に、あらかじめ駆除剤を噴射しておくと良いです。また、蜂の飛来を防ぐためにテープやシートで覆うなどの対策も有効です。庭の木は短く刈り込んでおくと良いです。蜂は花や果物などの甘い香りで集まってきますので、蜂が好むものは置かないようにしましょう。
巣を作られたら、業者に駆除を依頼する
予防をしていたにも関わらず蜂に巣を作られてしまった場合は、自分で駆除をすることもできますが危険ですので、 専門の駆除業者に依頼しましょう。自分で駆除が可能なレベルの巣の大きさだと判断したとしても、特に過去に蜂に刺されたことがある場合は、最悪の場合死に至る可能性があります。
蜂の巣の予防
蜂の巣の予防方法は、蜂が巣を作るタイミングに、蜂が巣を作りやすい場所に、予防効果のあるスプレーや木酢液を使ったり網をかけたりすることです。こうして蜂を寄せ付けないようにすることが大切です。では順番にそのやり方を見ていきましょう。
蜂の巣を予防するタイミング
スズメバチとアシナガバチは毎年4月頃から巣作りを開始します。この時、木の皮の隙間などで越冬していた女王蜂が、単独で巣作りのできる場所を探して巣を作ります。この時期を単独営巣期と言います。
蜂から見て巣を作りやすい場所というのは去年も今年も同じですので、去年蜂の巣のあった場所は、今年も女王蜂にとって狙いやすい場所であると言えます。女王蜂は4月から5月にそのような場所を探しているので、 蜂の嫌がる駆除スプレーなどを吹きかけておくと良いでしょう。
この時期を過ぎてしまうと、働き蜂が誕生して共同で巣を作るようになります。これを共同営巣期といい、蜂の攻撃性が高くなるために注意が必要です。
蜂が巣を作る場所
蜂の巣の多くは木の上や屋根などの高い場所ですが、土の中や低い場所にも巣を作ることがあります。また前述の通り蜂にとって都合のよい場所というのは他の蜂にとっても同じなので、過去に巣があったのと同じ場所に巣を作ることが多いです。特にアシナガバチは毎年同じ場所に巣を作る習性があります。
また蜂の巣は高い場所に作られることが多いので、通気口やフードなどに巣を作られることも多いです。そのためこういった場所には網を張るという予防策も効果的でしょう。ただし高いところにある通気口に網を貼るのは危険ですし、マンションの場合は管理組合の了解が必要になる場合もありますので注意しましょう。
蜂の巣の予防効果のあるもの
蜂の巣の予防スプレーが市販されています。蜂の嫌がる成分が含まれており、噴きかけた場所には蜂が寄りつきません。即効性がある上に、スプレーによっては1ヶ月程度の予防効果が持続します。
木材から得られる木酢液も効果があります。蜂が焦げ臭い臭いを嫌うため、これを塗った場所には蜂が寄り付かなくなります。木酢液も入手が容易で使用も簡単ですが、蜂だけではなく人間にとっても木酢液の匂いは強烈であるため、ベランダなど場所によっては木酢液を使うことが難しいでしょう。
蜂の巣の駆除方法
蜂による被害は毎年多数おきており、死亡例は国内だけで毎年40名以上になります。
このように蜂の巣の駆除は危険を伴うものですので、単独営巣期の予防はともかく、集団営巣期に巣を作られてしまった場合は、専門の駆除業者や役所に依頼する方が良いです。
多くの自治体では、蜂の巣の駆除を無料で行なったり、補助制度を持っています。補助制度の無い場合でも、ほとんどの自治体が蜂に関する情報をホームページに掲載し、担当課を案内しています。
しかし、出来たばかりの小さな巣を個人的に駆除する場合の方法についても説明をしておきます。
準備するもの
- スプレー式蜂駆除剤
- 巣と蜂を入れるゴミ袋
- 巣を外すための棒や虫取り網など
- 死んだ蜂などを集めるための箒とチリトリ
- 脚立
- 蜂防護服
- 毒吸引器(リムーバー)
注意点としては、蜂駆除剤は多めに用意をするようにしましょう。もし駆除の最中に駆除剤がなくなってしまうと、刺激された蜂が飛び回った状態で作業が中断し、とても危険になるからです。
駆除をする時間は?
働き蜂は、日中の明るいうちは、餌を集めるために巣から離れています。そのため日中に巣を駆除しても、夕方になると働き蜂が戻ってきてしまいます。働き蜂が戻ってきた後の、日没後2時間~3時間に駆除を行います。
明るいうちに巣の位置や大きさを確認しておきましょう。暗がりで作業することになり、脚立などを使うことも多いですし、足元には十分注意し、周囲を片付けておくと良いでしょう。
昼間に巣を駆除した場合、夕方に帰巣した働き蜂が巣のあった場所の周囲を飛び回るのですが、これを戻り蜂と言い、戻り蜂捕獲用の黒い粘着板も市販されています。
また巣が隣の家の窓などに面している場合は、あらかじめ蜂を駆除することを伝えておき、窓を閉めてもらうようにしましょう。
服装
基本的には蜂の防護服を着用してください。自治体で貸し出しをしている場合もありますので問い合わせてみると良いでしょう。
出来たばかりの小さな巣の除去で防護服を用いないという場合は、厚手の素材の、なるだけ白い色の衣装を身に着けます。なぜなら蜂は黒い色に攻撃をしてくる習性があるからです。長袖の服、長ズボン、軍手、帽子などを着用し、その上に雨合羽などを着用し、皮膚は露出しないようにしてください。
駆除の手順
巣の近くは薄暗くした状態で、足元を懐中電灯で照らしながら、巣にそっと近づきます。
巣の出入り口は通常は一個ですが、まれに複数ある場合があります。出入り口が複数ある場合は出入り口にテープを貼るなどしておきます。
殺虫剤をスプレーする場所を確認します。アシナガバチは巣全体にスプレーし、スズメバチは巣の出入り口の穴にスプレーします。風向きを確認しておきましょう。
位置を確認したら殺虫剤をスプレーします。蜂は殺虫剤がつくとすぐに落ち、こちらに向かってくることはありませんので、落ち着いてスプレーをかけ続けます。途中でやめないようにしましょう。巣の中の羽音が完全になくなるまでスプレーを続けます。そのためスプレーを余分に用意し、途中で切らさないようにすることが大切です。
羽の音が完全にしなくなったことを確認して、巣を棒などで壊して撤去します。この際まだ生きている蜂がいることもありますので、さらに駆除剤をかけて駆除します。
巣から蜂が飛び散った場合は、まずは落ち着き、懐中電灯をつけた状態で床に置いて、その場から少し離れます。蜂は懐中電灯の光に集まってきますので、集まった蜂に向かって殺虫剤を噴霧しましょう。
ほうきとちりとりで死んだ蜂、巣の残骸を集めてゴミ袋に入れます袋の中に念のためもう一度殺虫剤を噴霧し袋を密閉して廃棄しましょう。
注意点としては、死んだ蜂にも触れないようにしてください。スズメバチは死骸となっても体がちぎれていても、腹部に触れると反射的に毒針を動かして刺してくることがあるからです。